東京大学 x 文京区 協働ワークショップ 「あなたの名所ものがたり2018」/ Workshop “Your Story of a Famous Place, 2018”

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1. あなたの名所ものがたりシリーズ
文京区と東京大学との協働ワークショップ「あなたの名所ものがたり」シリーズは、2016年度からはじまった文京区との協働ワークショップで、文京区にある多くの名所旧跡を一般的な説明ではなく、そこに住む方や訪れる方の各々のものがたりとして語ってもらうことで地域の資源として捉え直し、その資源をコミュニティ・アーカイブとして蓄積し、地域の活力向上やまちづくりへいかしていこうという狙いを持っています。2018年度には第5回と第6回を実施しました。
これまで録音装置として黒電話型テレフォノスコープ を用いていましたが、今年度はラジオスタジオ風のヘッドフォンとスピーカーセットでの録音を行いました。また第6回は参加数は少なかったものの「家族」のものがたりを語ってもらうことを試みました。

2. ワークショップでのコミュニケーション
このワークショップシリーズの大きな特徴は、参加者1名(1組)に少なくとも1名以上のファシリテータが担当して丁寧にものがたりを作っていくという点にあります。会場に参加者が入ってきた際に気軽に担当ファシリテータがお声がけをしたわいもない雑談をしながら席へ案内します。最初はごく簡単なアイスブレーキング課題からはじめ、どのようなものがたりを語ることができるかを検討しはじます。参加者とファシリテータは一緒に名所を訪れ、名所に関してのものがたりを一緒に仕上げていきます。
第6回では「家族」のものがたりを聞き出すために「家族をシャッフルする」という方法をとりました。あいにく当日はキャンセルの家族もあって2家族の参加となってしまいましたが、家族がシャッフルされた状況でものがたりが語られました。他の家族のものがたりを一緒に作っていくというのもこのワークショップならではの取り組みではないでしょうか。

3. 録音装置ラジオスタジオ風セットの採用
昨年度までは黒電話型録音装置テレフォノスコープ にてものがたりを録音していましたが、今年度はラジオスタジオ風セットを用いました。このワークショップでは参加者はファシリテータと一緒にものがたりの「台本」を書きます。録音の際には台本を読むことになりますが、その工程は「電話」で語るよりも「スタジオ」で録音する方が適しているのではないかという検討からこのような装置を採用しました。放送部に所属しているという小学生の熱演もあり新しい装置の導入はうまくいったようです。

4. コミュニティ・デジタル・アーカイブへの期待
これまでの会と同様に今年度も参加者数は限られていました。最大数の参加者があっても1回で十数話程度のものがたりしか語ってもらうことはできません。しかし、このようなある場所についての個人の思い出が語られることが他の機会にあるでしょうか。このワークショップを通じて語られ記録されるものがたりはコミュニティにとってとても貴重なアーカイブとなっていきます。町会の役職をやっていらっしゃるという参加者の方からこのワークショップを地元の町会でやって欲しいというお声がけもいただきました。地元の方に価値を感じていただけたことは大きな喜びです。

日時

第5回 2018年10月14日(日)
第6回 2018年11月3日(土)

主催者

Storyplacers :真鍋陸太郎(東京大学)、水越伸(東京大学)、溝尻真也(目白大学)他

参加者

第5回 文京区に関わりのある方(個人) 5人
第6回 文京区に関わりのある方(家族) 2家族(4人)

関連URL

http://bunkyomm.tumblr.com

執筆者:真鍋陸太郎(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・助教)



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