ゲームデザイン論 2021(講師:松田白朗 先生)

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中山未来ファクトリでは、2021年度春学期の全学体験ゼミナールとして、「ゲームデザイン論」という大学1・2年生向けの講義を実施しています。

5月6・13日は、ゲームプラットフォーム開発のエンジニアである松田白朗さんをゲスト講師としてお招きし、講義を行なっていただきました。

松田さんは,Google社にてストリーミングゲーム・プラットフォーム「Stadia」のエンジニアとして担当されている他、過去にはXboxやDreamcastなどのハードウェアの開発に携われていました。

松田さんの2回の講義ではゲームで利用されるハードウェアを据え置き型と持ち運び型の二種類に分類し、それぞれハードウェアの仕様を中心にしたゲームの表現や体験の拡張などについてお話をしていただきました。

第1回目の講義では、主にXboxやPlayStationなどの据え置き型のハードウェアについてお話をしていただきました。ゲームハードウェアにおけるTVへの出力や映像・サウンド出力などの構成要素を分類しながら、ゲーム機の仕様の向上による映像や音表現の変化に伴う体験の変化や、近年の処理の高速化やセンサの組込みなどによるユーザへのフィードバックなどのテクノロジーとゲームデザインの変遷について時系列に紹介していただきました。

第2回目の講義では、スマートフォンを中心とした持ち運び型のハードウェアにおけるゲーム体験を中心にVRや近年の技術トレンドについて紹介されました。近年のゲームビジネスでは、それまでの据え置き型のハードウェアから次第にモバイル端末を利用したものに変化している中で、移動中などのユーザがどのような状況でゲームを遊ぶか?といった分析から、現場でどのような工夫が行われているか紹介していただきました。
次に、ゲームを生み出すためのゲームエンジンの技術についても紹介されました。ゲーム制作の抱えていた、開発の長期化や多くの人数が関わることによる開発プロセスの複雑化などの問題に対して、より即興的なプロトタイプの制作や生産性の向上について語られました。具体的には、UNREALやunityというゲームエンジンを挙げながらゲームエンジンの歴史や近年の利用動向が紹介されました。
モバイル端末からさらにゲーム空間へ没入する体験としてVR/AR/MRの技術が紹介されました。より人の身体を直接利用するゲーム体験や実空間への親和性の向上として遅延の抑制やVR酔といった人の身体に生じる事象に対する技術的な解決の実装について示されていました。

現在のゲームにおける映像や音だけでない振動などの異なる感覚を用いるためのセンサーの利用や通信によるユーザの同時接続による遅延の改善など、テクノロジーの進歩によって新しい体験やコンテンツが生まれてくるにはテクノロジの最適化や上手く技術を利用することが重要であるということを分かりやすく伝えていただいた講義でした。

日時

2021年5月6日(木)、5月13日(木) 16:50-18:35

主催

東京大学情報学環 中山未来ファクトリー

関連URL

ゲームデザイン論2021 Webサイト:
https://sites.google.com/view/gamedesign2021/

執筆者:伊達亘(東京大学大学院情報学環・特任研究員)



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