貿易ゲーム体験ワークショップ@東京大学

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2023年3月26日(日)に、貿易ゲーム体験ワークショップが開催されました。
貿易ゲームとは、「貿易」を中心に、世界経済の動きを擬似体験することによって、そこに存在するさまざまな問題について学び、その解決の道について考えることを目的としたシミュレーションゲームです。

今回、東京大学大学院情報学環 藤本研究室 財津康輔特任研究員が研究代表者を務める、科学研究費助成事業(科研費)「創造性を育成するボードゲーム学習プログラム・カリキュラムの開発・評価」の研究プロジェクトの一環で開催しました。
対象は、小学4年生から中学生のお子さんです。
3月初めに募集を開始し、定員を超える方々からの申し込みがあり、最終的に午前・午後の部を合わせて26名のお子さんに参加していただきました。

今回のワークショップでは、日本ボードゲーム教育協会に所属し、愛知県でボードゲームを用いた教育実践を行っている、坪内康将氏と伊與田一成氏の2名のファシリテーターを招へいし、貿易ゲームのファシリテーションを行っていただきました。

以下、貿易ゲームの性質上、ルールなどの詳細をお伝えできる範囲で当日の様子を報告します。

貿易ゲームでは、ある共通の目的を達成するために、その場で初めて集まった子ども同士でチームを結成し協力してゲームに取り組みます。
今回は、下は小学4年生、上は中学2年生までの年齢も性別も異なる子どもたちが集まり、ワークショップに参加しました。
初めはお互いぎこちないコミュニケーションの中、ゲームを進めていきます。どうすれば良いか途方に暮れて、しばし沈黙の時間が流れました。

ゲーム開始、机上の道具を見て作戦会議中

動きが見られたのは、ゲーム開始から約10分がたった頃、子どもが積極的に場所を移動し始めます。
誰かが動き出すと一斉にそのほかの子どもたちも動き出しました。
場の雰囲気が一気に変わった瞬間でした。それがあまりにも劇的でしたので、お子さんの様子を見られている保護者の方からも「面白いですね!」と感想を耳にすることができました。

ゲームの目的達成のため試行錯誤をしている様子

グループごとに取り組み方が全く異なります。誰かが積極的にリーダーシップを発揮するグループもあれば、メンバー全員が黙々と与えられた目標に向けて手を動かすグループも。
それぞれの子どもたちの個性が出ていることも大いに感じられました。

ファシリテーターと何やら交渉をしている様子

子どもたちは、ワークショップ中さまざまな気づきを得ます。それは、自分たちが行動した結果によって得られたことであったり、ファシリテーターからの仕掛けによるものであったりします。いずれにしても、その場面を目の当たりにして子どもたちの創造性が発揮される様子が何度も見られました。

ファシリテーターからの提案に耳を傾ける子どもたちの様子

そうこうしているうちに、あっという間に貿易ゲームのタイムアップです。終了時間に達した後には、ファシリテーターからワークショップ中に「何が起こっていたか?」が子どもたちにフィードバックされます。
ここで改めて、子どもたち・保護者たちが気づきを得ることもありました。ファシリテーターの解説で「おぉ」という声や「なるほど、そういう…」という驚きの声も上がります。
ゲームですので、勝ち負けが発生します。そのため、負けたチームは悔しそうに、勝ったチームは嬉しそうにしていますが、ただただその結果を見つめるだけではなく、ワークショップの中での行動を振り返って学びにつなげることができているように見えました。

実は今回、調査・研究の一環として、保護者のみなさんにはワークショップ中のお子さんの様子を観察していただくことをお願いしていました。
ワークショップ終了後に観察していただいた用紙を確認させていただいたところ、保護者のみなさんにもお子さんに対する気づきや、ゲームの内容に関する気づきがあったことが確認できました。
また、ワークショップ後に実施したアンケートでは、多くの子どもたちから本ワークショップに「参加してよかった」「また参加したい」「楽しかった」との声が聞かれました。
子ども・保護者のみなさんともに非常に満足度の高いワークショップを実施できたのではないかと思います。
今後も貿易ゲーム体験ワークショップを継続して実施していく予定ですので、ご興味・ご関心をお寄せいただければ幸いです。

日時

2023年3月26日(日)10:00-12:30、14:00-16:30

主催者

東京大学大学院情報学環 藤本研究室

参加者

一般参加親子26組、ファシリテーター2名、学生ファシリテーター4名

関連URL

https://ludixlab.net/

執筆者

財津康輔(情報学環・特任研究員)



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