広島女学院&渡邉英徳研ワークショップ@東京大学

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2023年5月14日(日)、東京大学大学院情報学環の渡邉英徳研究室は「テクノロジーと平和教育」をテーマとしたワークショップを開催しました。広島女学院中学高等学校の島田克央先生と高二生の10名が参加しました。今回のワークショップでは、渡邉英徳先生と研究室の3人の院生によるレクチャーとワークショップを行ないました。

 以下、当日の様子を報告します。

当日のアジェンダ説明

 まず、渡邉先生が研究室で取り組んでいるプロジェクトについて解説し、生徒たちに大型ディスプレイシステム「Liquid Galaxy」の体験をしてもらいました。
 その後、中山未来へ移動し、博士後期課程の片山実咲さんが「ヒロシマ・アーカイブ」の教育効果についてショートプレゼンを行いました。

ショートプレゼン

 片山さんは、平和教育における被爆者による講演会と「ヒロシマ・アーカイブ」の効果比較研究を行っています。「ヒロシマ・アーカイブ」は、渡邉英徳研究室が広島女学院高ほかと共同で制作した、被爆に関する資料と先端技術を組み合わせた多元的デジタルアーカイブです(公式サイト:https://hiroshima.mapping.jp/index_jp.html )。 
 片山さんによると、伝承者の語りと比べて、「ヒロシマ・アーカイブ」の証言を学ぶ平和教育の結果、個人の内面に自己実現や幸福感といった概念が形成される一方、平和構築に対する「無力感」も見られるそうです。質問応答では、「無力感」を内在的な動機に変える可能性などについて、先生・生徒を交えた活発な議論が交わされました。

 その後、渡邉研の客員研究員である田村賢哉さんによる「Re:Earth」の勉強会が行われました。「Re:Earth」は、渡邉英徳研究室と、田村さんが代表を務める株式会社ユーカリヤが共同で開発した汎用的WebGISプラットフォームです(公式サイト:https://community.reearth.io )。

Re:Earthを操作する生徒
ワークショップの説明

 最後に、渡邉研究室の楊欽さんがファシリテータを務め、SFプロトタイピングワークショップを行ないました。生徒たちは「50年後の広島」のイメージについて考え、さらに、グループごとに「ChatGPT」も使いながら未来の世界観を描写しました。さらに、その世界観に基づき、「未来の平和教材」のデザインについて考え、発表しました。

ChatGPTで生成した世界観の一つの例

 参加した高校生たちは、研究室のメンバーや渡邉先生からのレクチャーを真剣に聞き、新しい知識とアイデアを吸収する姿勢を示しました。
 最初の「Liquid Galaxy」体験によって、高校生たちの関心が高まりました。また、片山さんのプレゼンテーションでは、平和構築への貢献や「無力感」への対処方法について熱心に質問をし、自分たちなりの考えを深めていたようです。そして「Re:Earth」の使い方を学び、新しい技術の可能性を経験することで、将来の技術の発展について考えるきっかけとなったはずです。SFプロトタイピングワークショップにおいては、広島出身の彼女たちは50年後の広島と自分を想像しながら、創造的なデザインに取り組みました。
 この経験を通じて、高校生たちは自分自身で考え、技術を学び、創造的な活動やアイデアの発信力を身につけ、今後の活動に活かしてくれるものと期待します。

日時

2023年5月14日08:30-13:30

主催者

東京大学大学院情報学環渡邉英徳研究室
広島女学院高等学校

参加者

広島女学院高等学校(生徒10名、引率教員1名)
東京大学(大学院生6名、教員1名)

執筆者:岑天霞(東京大学大学院学際情報学府文化・人間情報学コース博士後期課程)



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