ゲームデザイン論 2024(講師:岡本吉起 先生)

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中山未来ファクトリーでは、2024年度春学期の全学体験ゼミナール「ゲームデザイン論」という大学1・2年生向けの講義を実施しました。今年度も対面で実施され、1・2回目の講義にはゲームプロデューサーの岡本吉起さんをゲスト講師としてお招きしました。

講師の岡本さんは公益財団法人日本ゲーム文化振興財団 代表理事やご自身の会社などを経営されていて、90年代初頭、対戦格闘ゲーム「ストリートファイターⅡ」で社会現象を巻き起こし、その後も「バイオハザード」シリーズなどの大ヒット作を手掛けるなど、トップゲームクリエイターとしての地位を確立。スマートフォンゲーム「モンスターストライク」の開発者の一人でもあり、2018年よりマレーシアに生活の拠点を移しました。現在はYouTubeチャンネルを運営し、ゲームを創り出す後進の育成にも精力的に取り組まれています。

ゲームデザイン論2024の講義は、ゲーム開発の実践的な知識と経験を学生に提供することを目的としています。講義は前半の座学と後半のゲームアイディアをチームで作り出すディスカッションを組み合わせた形式で進行されます。岡本さんは座学の講師3人のうちのお一人目として学生たちへ実際のゲーム開発の現場の様子などをお伝えいただきました。

4月18日の講義では、人気の出るゲームの条件として「聞いておもろい、見ておもろい、遊んでおもろい」というキーワードを示して下さり、加えてゲームが繰り返しプレイされる理由について議論しました。ゲームは繰り返しプレイすることで楽しさを増すものであり、プレイヤーが他者のプレイスタイルや攻略法を真似することでも楽しめることが強調されました。これを「真似しておもろい」という言葉で表現し、繰り返し遊びたくなる要素を加えたバイオハザードの開発秘話も交えて説明されました。

4月25日の講義では、ゲーム開発における「二番手の法則」が紹介されました。これは、他者が成功したアイデアや技術を採用することで、より良い結果を生む戦略です。具体例として、ドラゴンクエストとファイナルファンタジーのバッテリーバックアップ方式の進化が取り上げられました。この法則に従うことで、成功確率を高めることができるとされました。

学生たちは、講義で紹介された具体的な事例や経験談に非常に興味を持ち、講義後半の自分たちのゲーム開発に活かせるヒントを多く得ることができました。特に、バイオハザードの開発秘話や、ガチャの確率設定に関する実例は、ゲーム業界の裏側を垣間見る貴重な機会となりました。

岡本さんの講義は、経験に基づくゲーム開発に関する深い洞察を学生に提供し、実践的な知識を習得する場となりました。今後もこのような講義を通じて、学生たちがゲームを発想しそのアイディアを伝えるという活動の中で様々なスキルを身につけることを期待しています。

日時

2023年4月18日・25日(木) 17:05-18:35

主催

東京大学 大学院情報学環 中山未来ファクトリー

関連URL

ゲームデザイン論2024 ウェブサイト
岡本吉起さんYoutubeチャンネル

執筆者

倉本大資(東京大学大学院情報学環・特任研究員)



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