ゲームデザイン論 2024(講師:安原広和 先生)

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中山未来ファクトリーでは、2023年度春学期の全学体験ゼミナールとして、「ゲームデザイン論」という大学1・2年生向けの講義を実施しています。

5月16・23日は「ゲームとあそび」と題して、ゲームデザイナーであり、東京工科大学 メディア学部 特任准教授も務めている安原広和さんをゲスト講師としてお招きし、講義を行なっていただきました。

2日間の講義ではゲームを作るテクノロジーに関して、ご自身の経験を交えながらご紹介いただき、ハードウェア、ソフトウェアの話だけでなくゲームを楽しいと感じる人間の心理的な側面についても触れる内容となりました。冒頭でこれまでのお二人の講義をラップアップするような内容ですとおっしゃっていた通り、とてもボリュームのある聞き応えのある内容となりました。

安原さんは、ゲーム産業の進化を歴史的に振り返り、日本と海外市場の違いに焦点を当ててご紹介されました。ディズニーやアタリといった企業が開拓した市場の変遷、日本のゲーム業界の衰退理由を探りつつ、UnityとUnreal Engineといった現代のツールの役割にも触れました。特に、UnityやUnreal Engineのようなゲームエンジンと呼ばれる開発環境の影響について触れ、これらのツールがゲーム以外の分野にも応用されている点が注目されました。

次に、ゲームデザインにおける「面白さ」の本質を探り、制限とルールが遊びの核を形成することを例を交えてお話いただきました。また、プレイヤーが繰り返し遊ぶためには、デザインの試行錯誤が欠かせないと述べました。インタラクティブ性やプレイヤーの思考過程を重視し、これらが優れたゲームデザインの根幹であることが示されました。

また、認知科学の理論をゲームデザインに応用することで、プレイヤーの学習意欲や「アハモーメント(気づきの瞬間)」を引き出すことができると説明しました。認知バイアスやシステム1・システム2といった概念が、ゲームのインタラクションや学習プロセスに組み込まれ、プレイヤーが楽しさを感じる仕組みを具体的に例示され、これにより、ゲームは遊びでありながら、プレイヤーが「学ぶ喜び」を感じられる点に気づくと、長く愛されるゲームの理由も分かってくると教えてくださいました。

2回目の講義では、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンをはじめ、技術側面のお話から、簡単にゲームの形をしたものを作りやすくなった中で面白さの根源を見つけ、人間の心理的な観点でのヒントを多くご紹介いただきました。ゲームという遊びは対話的な楽しみであると定義して、機器や環境の発展をしつつもプレーヤーを楽しませることを中心に考えるといったゲームデザイナーの視点を共有していただいた講義でした。

日時

2023年5月16・23日(木) 17:05-18:35

主催

東京大学情報学環 中山未来ファクトリー

関連URL

ゲームデザイン論2024 Webサイト:
https://sites.google.com/view/gamedesign24/
X.com Hirokazu Yasuhara:
https://x.com/Yasuharah

文責:東京大学大学院 情報学環 特任研究員 倉本大資



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