福島芸術講 作品展 2025

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2025年1月28日から2月1日にかけ「福島芸術講 作品展 2025」を開催しました。

本展は、東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、避難指示等を受けた福島県の浜通り地域を中心とした12市町村において、ジャンルを問わないアーティスト等と地域住民、事業者・団体が協働し、原子力被災地域に関するビジョンを可視化した映像発信や芸術文化活動を持続的かつ発展的に進めることで、当該地域における関係人口の増加や自律的な活動の創出と継続を目的とした経済産業省「地域経済政策推進事業費補助金(映像文化芸術を通じた関係人口創出事業)」の「ハマコネーHAMA CONNECTED」の一環で、採択者である東京大学大学院情報学環開沼博研究室の主催で開催されました。

出展作家は、俳人の小澤實、写真家の大森克己、映像作家・現代美術家の伊藤隆介、社会学者の開沼博となります。展示作品は、作家らが本事業の対象の12市町村、またその周辺地域に滞在しリサーチを行い制作した作品となります。

作家らは、個人またはグループでリサーチを行いましたが、完成した各作品はそのモチーフが、重なるものもあれば全く重ならないものもあり、作家独自の視点が浮き彫りとなりグループ展としてもとても興味深い展示となりました。

来場者は、アーティストをはじめ、キュレーター、俳句、美術、写真の各関係者、高校生、大学生らの学生と合わせ、104名が来場しました。

展示作品は、福島芸術講のWEBサイトhttps://www.fafta.org/)により全て公開されております。

また開催初日の1月28日の18:00から4人の出展作家が来場し、「ハマコネーHAMA CONNECTED」の事務局の担当者である株式会社山出アートオフィスの今井寛子氏の進行のもと「福島芸術講 活動報告会 2025」を開催しました。

本会では、作家たちがそれぞれの活動について報告を行い、震災前からの福島の文化的背景や、現在進行中の復興過程における独自の視点を共有し、今後の活動展開についても言及しました。

進行の今井寛子氏からは、
福島芸術講が始まった背景。福島芸術講の活動目的として、震災後の復興活動における一過性のイベントではなく、継続的な関係構築を目指す「コネクティッド」事業としての位置付けとなること。

出展作家の

大森克己氏
2011年から福島を訪れ、震災直後から現在までの変化を記録しているこれまでの自身の活動について、特に帰還困難区域の変化や、原発事故後の地域の再生過程に注目していることについて。

伊藤隆介氏
考古学的視点から福島の文化を探求する自身の活動を紹介。北海道からの参加として、考古学とアートの融合を通じた福島での活動について、また縄文時代から現代までの文化的連続性に着目した取り組みについて。

小澤實氏
俳句を通じて福島の風土や歴史を表現する取り組み。2000年からの福島との関わりを持ち、震災後の風景や出来事を俳句で表現している活動について、特に震災関連の出来事や場所を詠んだ作品について。

開沼氏
福島芸術講の活動を通じて、継続的な関係構築と地域活性化を推進していくこと。また本活動は、地域の文化や歴史を尊重しながら行われており、地域住民との信頼関係を築くことを重要視していること。地域の復興には、物理的な再建だけでなく、文化や芸術を通じた精神的な支援も重要であると感じられる。

などの報告があり、当日は36名の参加者が来場し会の終盤には参加者との質疑も行われ、活発な意見交換がなされました。

日時

2025年1月28日〜2月1日 12:00~19:00

主催

東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 開沼博研究室

参加費

無料

出展作家

小澤實(俳人)大森克己(写真家)伊藤隆介(映像作家・現代美術作家)開沼博(社会学者)

報告会進行

今井寛子(株式会社山出アートオフィス・ハマコネ事務局)

関連URL

https://www.fafta.org/

執筆・会場撮影

丁可(東京大学大学院学際情報学府社会情報学コース修士課程)

作品撮影

間部百合



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