「防災探究アカデミア」キックオフミーティング

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2025年9月7日、東京大学本郷キャンパス情報学環オープンスタジオにて「尾西食品×東京大学 防災探究アカデミア」のキックオフミーティングが開催されました。

本プログラムは、尾西食品株式会社と東京大学大学院情報学環 開沼研究室が共同で企画した災害研究を中高生が体験する、探究学習・STEAM教育プログラムです。全国の中高生を対象に、東京大学の専門知を活用しながら防災について調査・検証し、早期に本格的な研究への挑戦を試みいる取り組みです。2025年9月から半年間にわたり、参加者は全国から集まった仲間たちと一緒に社会課題の解決策を導き出し、学会発表やコンテストへの出場を目指します。

本プログラムは、災害大国日本で生きる私たちにとって必須である防災の知識と行動力を育て、「もしも」の時に冷静に判断し、適切な行動ができる力を養うことを目的としています。尾西食品と開沼研究室の協働の中で、昨年度は荒川区の中学3年生が日本災害情報学会で研究成果を発表・提言に至りました。今年度も参加者たちの活動が期待されます。

当日は全国各地から防災に強い関心を持つ中高生が参加し、約3時間のプログラムを通じて防災研究への第一歩を踏み出しました。

キックオフミーティングは、災害備蓄食品の最大手メーカーである尾西食品の商品をつかったワークショップと参加者同士の自己紹介からスタートしました。参加者は、本プログラムへの参加動機や興味のある研究テーマについて対話し、自分の住む地域の防災課題について調べたい生徒、災害時の情報伝達について研究したい生徒、避難所運営の改善策を考えたい生徒など、様々な視点が共有されました。

続いて行われた、「問いを立てる」ことを目標にしたレクチャーとディスカッションでは、学生メンターのサポートのもとで、災害時の行動シミュレーションや、実際の被災状況を想定したケーススタディ等を前提にしたリサーチクエスチョンのアイディアが出されました。参加者たちは真剣な表情でグループワークに取り組み、「災害から命を守る」ことの重要性を改めて実感している様子でした。

このキックオフミーティングの内容を踏まえて、参加者はオンラインでコミュニケーションを深めはじめています。「SNSを活用した災害情報伝達の課題」「防災食の備蓄と活用実態調査」「学校における防災教育の効果測定」などなど、中高生の視点を通してあぶり出される課題に対して、深い対話と生成AI等新たな技術の活用も組み合わせながら深堀りがされています。

本プログラムの大きな特徴は、単なる知識の習得ではなく、実際に社会課題の解決策を導き出すことを目指している点です。参加者たちは、考える力、問題を見つける力、発表力、チームワーク、リーダー力という5つの力を養いながら、本格的な研究に挑戦しています。また、本プログラムは産学連携による実践的学習の場でもあり、東京大学の最先端研究と、防災と食をつなぎ社会に価値を生み出し続けるトップメーカー・尾西食品の実践的技術を組み合わせることで、日常的に学校で学ぶ内容とは違った角度から深く探究学習・STEAM教育に触れることができます。

12月までの4ヶ月間、参加者たちはオンラインで研究の進捗を発表し、専門家から具体的なフィードバックと研究指導を受けます。そして12月14日には、東京大学にて研究成果発表会が開催される予定です。

閉会時、参加者たちからは「これまでは避難訓練などでしか触れられなかった災害について深く考えるきっかけになった」「研究とは何か、その一端に触れることができて楽しかった」といった前向きな声が聞かれました。

日時

2025年9月7日(日)12:00〜15:00

会場

東京大学情報学環オープンスタジオ

主催

尾西食品株式会社、東京大学大学院情報学環 開沼研究室

参加費

無料

対象

全国の中学生・高校生

文責

開沼博(情報学環社会情報学コース准教授)



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