東京大学 本郷キャンパス 情報学環本館地下1階
東京大学情報学環 オープンスタジオ
東京大学 x 文京区 協働ワークショップ 「あなたの名所ものがたり’17 本郷編」/Workshop “Your Story of a Famous Place in Hongo, 2017”
アーカイブ 2017年10月07日(土)
1. あなたの名所ものがたりシリーズ あなたの名所ものがたりは、本オープンスタジオでも8月に実施した文京区との共同研究のワークショップシリーズです。2016年度に2回、2017年度に2回実施したもので、今回が2017年度の2回目、通算で4回目となっています。2017年度の1回目は小学生に参加してもらいましたが、2回目は大人たちが小学生と同様の内容をこなすものとなっています。 前回の報告にも書いたように、このワークショップの目的は文京区にある多くの名所旧跡を一般的な解説ではなく参加者の体験の場所として「ものがたり」として語ることにあります。2016年度では赤門と本郷三丁目交差点という「お題」を決めての取り組みだったのに対して、2017年度は本郷・湯島の任意の名所を選んでもらい、その場所を地図上でも共有することになっています。ワークショップの詳細なプログラムは前回報告を参照にしていただければと思います。また、これまでの成果は成果サイト(http://bunkyomm.tumblr.com/)に掲載されています。
2. 生活を知る名所ものがたり 今回のワークショップでは、ご家族での参加者も含み13名の文京区在住の方を中心とした参加者(1名は区外)があり、11組のものがたりが地図上に示されました。 小学生のワークショップとなった前回では、文京区教育センターなど子どもらしい場所が取り上げらたり、当然ですがつい最近の体験が「ものがたり」となっていたりしましたが、今回のワークショップでは次のような大人ならではのものがたりが語られました。 例えば、お二人から名所として取り上げられた湯島天神ではちょうど結婚式が挙行されていたようでその様子が写真に収められました。ものがたりはお孫さんの思い出や合格甘酒の話題など、湯島天神と生活との接点が垣間見られました。 東京大学のお近くにお住まいだった参加者からは東大紛争の様子が「すぐそばに暮らしていた子ども」の目線で語られています。会場では他の参加者からも当時の様子が語られ、東大紛争という出来事を地域での体験として捉えることができました。 また、ご家族で参加された方は、お父様と息子さんのグループで語ってくれました。お父さんの思い出の地であるという本郷を息子さんが探検するという内容で親子の絆を地域に見つけることができたのではないでしょうか。
3. コミュニティ・アーカイブとしての展開 このワークショップはデジタル・ストーリーテリングのごく簡易的な手法を用いたものですが、ごく簡易的な手法であっても一般的なアンケート調査などでは知ることのできない、地域と個人の関係に注目される内容が取り上げられました。いまの社会は多くの情報にあふれているゆえに、人同士の関係が希薄になり個人はより孤独になってしまっているのではないでしょうか。持続可能な地域を支えるための一助として地域・コミュニティのごく身近な情報を蓄積したアーカイブとその活用が望まれると考えています。本ワークショップでのものがたり作りはアーカイブの入り口であり、また他の参加者のものがたりを聞く体験は出口でもあります。 このようなワークショップそのものの学術的意義の考察を深めるとともに、持続可能な地域のためのコミュニティ・アーカイブのデザインを今後も考えていきたいと思っています。
2017年10月7日(土) 13時-17時
Storyplacers :真鍋陸太郎(東京大学)、水越伸(東京大学)、溝尻真也(目白大学)他
文京区民ほか 12名
http://bunkyomm.tumblr.com
執筆者:真鍋陸太郎(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・助教)
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