Workshoppers2018

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東京大学大学院GCL GDWS機構が毎年年度末に開催している年次報告会、Workshoppers。
本年(2017)度は、昨年まで開催されていた福武ホールから、今年度オープンした情報学環オープンスタジオへ場所を移し、2部構成で開催された。
第一部では、ワークショップ研究者で実践者の安斎勇樹さんをゲストに迎え、近年の安斎さんの研究である「ワークショップ実践者が、実践における困難を感じるポイント」についてレクチャーをしてもらった。
第二部では「ワークショップC」という、学生自身が設計しファシリテーションを行うプロジェクトを完了した博士課程の学生から、自身の経験を振り返ってもらうトークイベントを行った。

会場の様子。延べ40人ほどの参加があった。

第一部において語られたことは、

  • ワークショップ実践者とくに初心者はワークショップファシリテーションにおいて、困難を感じている。
  • ワークショップは様々な形態があり、新規開発、まちづくり、教育、アートなどジャンルによって、ファシリテーターが感じる困難のポイントが異なる。
  • ワークショップファシリテーションの初心者は、ワークショップにおける創造的活動について参加者が期待通りに参加してくれるか?創発を生み出してくれるかどうか?に困難を感じる傾向がある。
  • ワークショップファシリテーションの熟達者は、ワークショッププログラム内についてはそれほど困難を感じておらず、むしろその前段階のコンテキストセッティングや、事後の参加者のケアなどに困難を感じている。

といった話題が提供された。

登壇者:安斎勇樹(東京大学情報学環特任助教)
モデレーター:水越伸教授(GCL GDWS)

ワークショップ実践者/研究者の安斎さんは、ワークショップファシリテーターの初心者から熟練者までを調査し、「ファシリテーションの困難さ」の原因を探っている。その際新研究の発表。

第二部においては、博士課程の2名の学生によって、これまで行ってきたWS Cの計画作りから実践までをフランクな雰囲気の中語ってもらった。
GCL学生にとっては、博士研究の中で「ワークショップ」という、一見するととらえどころが難しい活動を、いかに位置づけて行くのか?という話題が中心に語られた。

ドクターの早い段階でワークショップを開催した稲吉さんは、論文の中の本論にあたる部分で、その成果について検討を加え執筆する予定であることを示唆した。計画段階で、GDWS機構が開催してきた「ワークショップ相談会」に何度も参加し、ワークショップの設計を数回にわたって練り直したことによって、博士論文の骨組を支える強度のあるワークショップが開催出来たということになるだろう。
一方、論文の主軸を執筆途中で大きく変更した浦野さんについては、ワークショップの位置づけを結論部分のFuture Work的な位置づけにおくことで、本論で検討された議論を受けて、将来、社会応用していく際の方向性を測る位置づけになりそうだということで、語ってもらった。

ワークショップというのは、開催するごとに成果も異なる活動を、博士論文の中に組み込むということは、論文の主旨を阻害しないような「位置づけ」を、あらかじめ想定してから、その設計や開催に臨む必要がある。

彼らに続く後輩が熱心に耳を傾けていたのが印象的であった。

博士研究でワークショップを取り入れた学生によるトーク。ワークショップ相談会に参加するタイミングの話題や、ワークショップ結果によって論文の中での位置づけが変化する、といった話題が語られた。
登壇者を取り囲むかたちで会場は構成され、先輩の話す内容に後輩は耳を傾けた。
懇親会の様子。懇親会にも多くの人々が参加し、詳しく話を聞きながら交流を深めた。
日時

2018年2月17日 13:00 – 17:00

主催者

東京大学GCL GDWS機構

参加者

東京大学GCL コース生、一般参加 37名

執筆者:会田大也(東京大学GCL GDWS機構特任助教)



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