親子でマイクラチャレンジ2022 at 東京大学

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10月22日(土)、23日(日)の2日間にわたり、藤本研究室は株式会社イオンファンタジーとの共催で『親子で楽しむマイクラチャレンジ2022 at 東京大学』を開催しました。

同社運営のオンラインスクール「ゲームカレッジLv.99(レベルキュウキュウ)」の講師陣によるリアル参加型ワークショップで、同社と当研究室が行っている共同研究プロジェクト「多様なデジタルゲームの遊びを学びに接続する支援プログラムの開発」の研究成果として、多くの子どもに大人気の「マインクラフトの教育版」を使用して実施しました。
参加者の募集を開始したその日のうちに定員に達し、最終的に52組の親子の方々にご参加いただきました。

さて、本ワークショップの特徴は以下の2点です。

①デジタルゲームの学び体験
教育版マインクラフトの特徴を活かした学習プログラムを体験できます。東京大学の会場とオンラインの講師を接続して、ゲーム空間での遊びから楽しく学ぶ力を育みます。

②多人数でのマルチプレイ
チーム対抗チャレンジを取り入れたレッスンです。チームメンバーで助け合いながら、オリジナルの建築物などをマイクラワールド内で制作します。

今回のワークショップのために、ゲームカレッジLv.99の先生方が東京大学本郷キャンパスの安田講堂や正門などの建築を特別に作ってくださいました。この東京大学のワールドの中で「講師1名と子ども7名」を1チームとしてZoomで接続しながらオンラインでチーム毎にレッスンを行い、最後にチーム対抗戦を行いました。

そして、参加者の皆さんにより楽しんでいただけるよう主催者と共催者で協力してワークショップをデザインしました。ポイントは以下の4点です。

1)保護者の方の積極的な関わり
会場では、子どもたちはPCの前に座って実際にマイクラをプレイし、保護者の方もその隣でタブレット端末から接続し、子どもと同じ世界に入りながらお子さんのプレイを観察いただきました。また、保護者の方に「マインクラフトのプレイ中に子どもたちの様子を観察するポイント」やその例を記載した資料を配布し、マイクラをプレイする子どもの創造性を支援するような声かけを行っていただくなどして、保護者の方にも子どもと一緒に楽しんでいただけるよう工夫しました。

2)2種類のチームワーキング
レッスンでは、相手チームが隠した宝石(金のインゴッド)を探して見つけ出す、チーム対抗戦の宝探しを行います。ただし、ただ宝探しをするのではなく、その過程において通常とは異なるポイントがあります。一つが、マインクラフトと聞いてまず想像する、「協力して建物をつくる要素」です。もう一つが、いきなりゲームをスタートするのではなく「建物を立てたら、どこに宝石を隠すのか、どのようにして勝つか戦略を考える」要素です。
それぞれのチームで、この“協力して建物をつくる”+“協力して勝利のための戦略を考える”時間をしっかりと設けることで、コミュニケーションの時間が取れ、「子ども−親」間のコミュニケーションだけではなく、「子ども−子ども」間も自然とコミュニケーションが発生していました。

3)Zoom接続&アバター
写真を見る限り、子ども達はPCの前にいるので/ヘッドフォンをしているので、子ども−子ども間/子ども−親のコミュニケーションは本当にできるの?と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、PC上でオンラインWeb会議ツール(Zoom)に接続することで、参加者の方々は現地に居ながらにして、お互いの声や現地に居ない講師の声をクリアに聞くことができるようにしました。
また、それぞれのチームにはゲームカレッジLv.99の先生が力作した、専用アバターを用意しました。一つはアニメ『鬼滅の刃』で、もう一つもアニメ『呪術廻戦』のキャラクターのアバターでした。これにより、チーム内でお互いのニックネームが咄嗟に出てこない状況でも、「炭治郎(鬼滅の刃のキャラクター)の子」のような形でお互いを認識、呼び合うことができていました。なお、余談ですが講師の先生方は、指導者の立ち位置である煉獄さんと五条先生のアバターを使っていました。原作の関係性も踏襲していて、面白いなと感じました。

4)オンライン講師&現地のファシリテーター
本ワークショップでは、ゲームの進行役として、Zoom上で1チーム毎に講師を1人配置するとともに、現地で技術的なトラブルに対応したり、学習をサポートしたりするファシリテーターを複数名配置しました。
今回、申し込みの際に「マインクラフト習熟度」を尋ねる設問を設けましたが、回答は多岐に渡りました。このワークショップでマイクラを初めてプレイするという回答も一定数あり、またそれに加え、マイクラは普段Switchでプレイしているため初めてPC版に触れるなど、PC操作に不安がある子どもの存在も予想できました。現地ファシリテーターによる個別の丁寧なサポートのおかげで、最初は“ちょっと動かし方が分からない”という子どもも、30分もすれば完全にマスターできるようになっていました。

これらのポイントが功を奏したのか、レッスンに遅れを取っていると感じる子どもを減らし、一人一人に主体的に参加いただけたように思います。チーム対抗戦も大いに盛り上がり、オンラインレッスン終了後は現地で“鉱石さがし”を行い、子どもたちに実際に採れた鉱石をお土産に持ち帰っていただきました。そして全4回のワークショップは成功裏に終わりました。

ワークショップ後には子どもと保護者の方にそれぞれアンケートに回答していただきました。子どもたちに「今回のマイクラチャレンジは楽しかったですか」と尋ねる設問では、96.1%から「楽しかった」と回答がありました。また、保護者の方に「今回のワークショップの満足度を教えてください」と尋ねる設問では、“満足”または“やや満足”と回答した方が全体の95.4%を占めました。
自由記述のコメントでは子どもたちから「マイクラは1人でやるよりみんなでやる方が楽しかった」「みんなで作戦を立てたりして自分ではわからなかったアイディアも教え合うことができたから。みんなで協力して戦闘するのが楽しかった。相手チームに勝つためにはどうすればいいか考えるのも楽しかった。」との声が聞かれるとともに、保護者の皆様からも「パソコンでの操作は初めてでしたが、わかりやすく指示してもらったので小3娘も楽しく参加できました」「あんなにわちゃわちゃした子どもたちを、よくぞあそこまでまとめて適切にアドバイスを入れながらミッションを達成できたな、と講師の先生の凄さに驚きました。」「帰ってから、家で作ったワールドで楽しそうに遊んでいます。」などといった感想をいただきました。
子どもたちと保護者の方々ともに充実した時間を過ごしていただけたことが伺え、安堵しました。

現在、ワークショップの前後でそれぞれ回答いただいたアンケート結果を分析し、学会等で研究成果を発表する準備を進めています。また、アンケートでお寄せいただいたご意見を生かし、改善策を盛り込んだワークショップを再度開催したいと考えています。
引き続き、藤本研究室の活動にぜひご注目ください。

日時:

2022年10月22日(土)、23日(日) 各日13時~15時、15時30分~17時30分

主催者:

東京大学大学院情報学環 藤本研究室

参加者:

小学2年生~小学6年生までのお子様52名とその保護者の方

関連URL:

https://ludixlab.net/

執筆者:

新居佐和子(情報学環・学術専門職員)



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