VR学会A+E Meetup-3「アートやエンタメをテーマとした研究や作品の評価方法の共有」

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“2023年11月25日、日本VR学会A+E研究委員会が主催するMeetup-3「アートやエンタメをテーマとした研究や作品の評価方法の共有」が東京大学情報学環オープンスタジオとオンラインのハイブリッドで開催された。

3回目の開催となるMeetup-3では、アートやエンタメを筆頭とする抽象的な研究や作品の評価方法を共有・議論する場として設けられた。本イベントでは前半の講演会で評価方法を共有し、後半のワークショップで評価方法について議論を行うことで、インプットとアウトプットの双方向から理解度を深めていく。

オープニングでは、研究委員長の山岡潤一氏(慶應義塾大学)によるA+E研究委員会およびMeetup-3の趣旨説明、ゲスト講演者の紹介が行われた。本イベントのゲスト講演者は韓燦教氏(東京大学)と橋田朋子氏(早稲田大学)である。

オープニング後、講演会がはじまった。

はじめに、韓燦教氏が「ワークショップとは縁がない人間が自分でワークショップを開催するまで」という題目で講演を行った。講演では、韓燦教氏が博士課程中に初めてワークショップを開催した経緯を説明した。韓燦教氏は適切なワークショップの開催が、プロトタイプの実現可能性と有用性の検証に寄与すると語った。一方でワークショップの開催にはプロトタイプの開発は必須であり、一人で進めず他人の力を借りることが大切であると述べられた。

次に、橋田朋子氏が「メディアテクノロジーでオルタナティブを作る×実験や評価」という題目で講演を行った。橋田朋子氏は人工物から自然物や人までと広く視野を取り、手を動かして発見し、その来歴から発想することの大切さを語られた。そして、過去の研究より、抽象的な対象であっても、複数の評価軸を採用することで、効果的な評価が可能になると述べられた。この評価は「工学的な実験-心理学的な実験」と「実装前-実装後」の2軸より求められると共有された。

両者ともに複数の学問を修めた背景を持ち、多角的な視点を組み合わせることで効果的な評価を実施してきた。その際、自身に足りない視点があれば、他者に頼ることの大切さを語られていた。

その後、質疑応答の時間が設けられた。ワークショップの工夫点、ワークショップを通して生まれた結果の捉え方、学会や展示会からのフィードバックを活用する方法について、講演者が実体験に基づき回答した。時間が迫るまで、密度の高い議論が繰り広げられ、充実した質疑応答となった。

講演会終了後、阪口紗季氏(東京都立大学)の司会で、講演内容の振り返りを主題とするワークショップが開催された。ワークショップでは2つのグループに分かれ、各グループが「評価方法の分類」と「興味深い評価方法」について議論した。

ワークショップの終わりには各グループの代表者が得られた結論を発表した。グループAはアカデミックな枠組みとビジネス応用の視点の差異を中心に議論を展開した。評価方法の分類では7つの手法を挙げ、特に定性的な評価と定量的な評価の違いに焦点を当てた。一方でグループBは評定尺度法で測れない評価手法に焦点を当てて議論を進めた。そして、評価方法を5つの分類に分け、グルーピングの難しさとワークショップ参加者に対して誘導することの重要性について述べた。

ワークショップでは、多様な背景を持つ参加者との意見交換を通じて、自身の研究に適用可能な手法について広範に議論する機会となった。

ワークショップ終了後、委員長の山岡潤一氏がクロージングを務め、閉会の挨拶を行った。クロージング後は交流会が開催され、賑やかな雰囲気の中で、本イベントを通して得た気づきや研究活動時の悩みを語り合うことができた。

本イベントが多様な背景を持つ人々にとって知識の架け橋となり、モチベーションを促進するきっかけになることを願う。同時に評価方法に悩む人々の評価指標や価値の軸が定まれば幸いである。”

開催日時

2023年11月25日(土) 13:00-17:00

主催者

日本VR学会A+E研究委員会

参加者の属性、参加人数

大学生・大学院生、大学関係者、企業関係者 41名(うち現地参加者22名)

イベントに関連するURL

http://sigae.vrsj.org/

執筆者

前田楓太(慶應義塾大学)



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