東京大学 本郷キャンパス 情報学環本館地下1階
東京大学情報学環 オープンスタジオ
Navigating Academic Journal Publishing: An Editor’s Perspective 編集長の目から読み解く国際学術ジャーナル出版の現在
アーカイブ 2026年10月14日(水)
テーマ:国際学術誌への論文投稿と査読・出版プロセス
本ワークショップでは、国際的なコミュニケーション研究の基幹学術誌 Journal of Communication の共同編集長を務めたKaren Tenenboim-Weinblatt教授を講師に迎え、国際学術誌への論文投稿から査読、掲載に至るまでのプロセスについて、実践的な知見が共有された。
まず、投稿先の学術誌を選ぶ際には、インパクトファクターなどの指標だけでなく、論文のテーマや理論的関心と学術誌の対象領域との適合性(ジャーナル・フィット)を重視すべきことが強調された。また、編集委員の専門分野や投稿規定を事前に確認し、研究の位置づけや投稿に要する時間も考慮した戦略的な判断が必要であると説明された。特に、日本からの投稿が少ない現状を踏まえ、日本の研究者による国際発信への期待が示された。
論文執筆に関しては、個別の事例や国内的な問題関心を超えて、研究がコミュニケーション研究全体にどのような理論的・学術的貢献をもたらすのかを明確に示す重要性が指摘された。とりわけ序論と考察では、研究課題の意義と知見の一般的な射程を読者に伝える必要がある。また、研究方法の透明性を確保するため、インタビュー項目、コーディング資料、追加分析などを補足資料として活用することも推奨された。
査読プロセスについては、Journal of Communication では投稿論文の85%以上が外部査読に進む前に編集部で不採択(デスクリジェクト)となる厳しい状況が紹介された。その背景には、投稿数の増加や査読者の確保の難しさがある。不採択を過度に個人的に受け止めず、次の投稿につなげる姿勢が重要であるとされた。また、査読後の修正では、査読者のコメントを引用しながら、修正内容や対応方針を項目ごとに具体的に説明することが求められる。
質的研究についても議論が行われ、小規模な事例研究であっても、方法論的な厳密性と透明性を確保し、幅広い研究領域に通じる理論的貢献を示すことで、主要国際誌への掲載可能性を高められることが説明された。さらに、ICA大会への研究途上の成果の投稿や、アブストラクトの位置付けについても質疑応答が行われた。
本ワークショップは、国際学術誌の編集実務に基づく具体的な助言を通じて、参加者が国際投稿の課題と戦略を理解する貴重な機会となった。特に、日本のメディア・コミュニケーション研究を国際的な理論的議論に接続し、その成果を積極的に発信していくことの重要性が確認された。
2026 年 10 月 7 日(水曜日) 開始時刻 17 時 30 分~終了時刻 19 時
東京大学大学院情報学環オープンスタジオ B1 ハイブリッド開催
Prof. Keren Tenenboim-Weinblatt, Department of Communication & Journalism, The Hebrew University of Jerusalem/Co-Editor-in-Chief, Journal of Communication
林香里(東京大学)
日本メディア学会国際委員会
東京大学大学院 情報学環 教授 林香里
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