あそびの未来ファクトリー2024

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2024年2月13日(火)から2月28日(水)にかけての2週間、第6回目となる「あそびの未来ファクトリー2024」を開催しました。
このイベントは学生向けのハッカソンでこれまで東大生向けに実施しており、今回チャレンジとして東大外からも参加者を募ることとなり多様な参加者構成となりました。しばらくオンライン開催を余儀なくされてましたが、昨年より対面実施しています。

参加者にはテーマとして、「”未来のあそび”をチームでつくりだす」ことが与えられ、「あそび」とはそもそもどういったものなのか歴史を辿り議論の土台を作り、各チーム様々な切り口であそびについて考えを深め、それを実装し、中間発表、最終審査とチーム対抗でアイディアを競うこととなります。

会期中のスケジュール
* 2月13日(火)|14:00〜17:00|自己紹介・説明会・ブレインストーミング
* 2月14日(水)|14:00〜17:00|技術サポートday
* 2月15日(木)|14:00〜17:00|技術サポートday
* 2月19日(月)|14:00〜17:00|技術サポートday
* 2月20日(火)|14:00〜17:00|中間発表会
* 2月21日(水)|14:00〜17:00|技術サポートday
* 2月22日(木)|14:00〜17:00|技術サポートday
* 2月27日(火)|14:00〜17:00|技術サポートday
* 2月28日(水)|14:00〜17:00|最終審査会

初日は参加者、審査員、アドバイザー、スタッフなど全員が顔を合わせるキックオフとなります。関係者全員の自己紹介のあと、その場でチーム作りに取り組み、そこでは、参加者自身があらかじめ作成した自己紹介スライドを看板のように持ち、各自動き回り自己紹介や関心事など話に花を咲かせ、続々とチームが出来上がっていきました。

その後、本稿執筆者でもある倉本大資(東京大学大学院情報学環特任研究員)によるあそびの類型のレクチャーや、安斎勇樹先生(東京大学大学院情報学環 特任助教)によるあそびのつくり方に関するワークショップを実施しました。レクチャーではピーテル・ブリューゲルによる絵画「子供の遊戯」を紹介し、様々なジャンルのあそびを見ながら500年ほど前にもかからず、今もさほど変わらない人間とあそびとの関係性について思いをはせ、ワークショップでは、参加者がこれまで遊んできた「あそび」をあげてもらいました。その後、ロジェ・カイヨワによるあそびの類型を軸に「あそび」の分析を行いました。

2日目からの「技術サポートday」では、アドバイザーとして招かれたさまざまな分野のクリエイターより、チーム毎に助言を得たり、アイディアを深める機会となりました。また、基本対面を前提に進めていましたが、各チームとも上手くオンラインツールを使用し、チームメンバーの都合等に合わせチームでの活動を続けていたのは印象的でした。

中間発表ではスライドを用いたアイディアの発表をし、審査員やアドバイザーからフィードバックがありました。早いチームでは試行錯誤途中のプロトタイプの披露もありました。そしてまた数日の技術サポートdayを挟み最終審査に向け各チーム制作を続けました。最終成果物は、「考えた”未来のあそび”を5分以内の動画にする」ことです。遊んでいる様子を動画に撮るためには、実際に遊べる状態のプロトタイプが必要となり各チーム実装を進めていきます。
ある程度形になり実際に遊んでみると意外な面白さが分かったり、微妙なところなど問題も出てきて、試行錯誤を重ねブラッシュアップしていきました。

最終審査会では、作成した動画を見せるのに加え各チームデモプレイをしたり、審査員に実際に遊んでもらうなど工夫してアピールがありました。動画の時点でどよめきの起きるもの、遊んでいる様子を見て参加者の気を惹きつけるものなど様々でチームごとに特色がありました。特にあそびの捉え方がチームごと様々な方向性があり、特に味覚や嗅覚にまで及ぶ様子は見ていてまだ広がる可能性を感じました。

最優秀賞 「オレンジジュースはどこだ」by 推測サファリ チーム
実装賞「POLINEGON SOUND」 by 集団登校 チーム
プレゼン賞「チュパタのキス パチャイ」 by はいはいーず チーム

最優秀賞の「オレンジジュースはどこだ」は、匂いを基準に匂いの入った容器とカードを使い最初に引いた匂いを探し出すあそびです。ただの匂い当てゲームではなく、シャッフルされた匂いをお題カードにそって表現し推測するという感覚の共有やそのズレを楽しめるゲームとなっていました。
実装賞の「POLINEGON SOUND」は、音楽製作ツールでよくあるぱっと見の難しさを課題としVR空間上で線を引き音楽を作成できるあそびです。多角形は繰り返されるリズムパートとして、自由に描いた線は線の動きが音程になりメロディなどの楽器になるなど。誰でも音楽作りが楽しめる遊びとなっていました。
プレゼン賞として選ばれた「チュパタのキス パチャイ」は紀行番組風に作られた動画が再生されるだけで会場が騒然としました。駄菓子や知育菓子の食感と海外では挨拶としても交わされることもあるキスの組み合わせを上手くまとめ架空の国の風習を創造し非接触型のキスをあそびとして表現しました。

「新しいものを作る」と言われるとどこから手をつけたらいいか迷ってしまいがちですが、各チームとも自分たちのあそびの原体験や、メンバー各自の関心を新たなあそびと体験へ発展させようという方法でアイディアを生み出していると思います。
テーマは「あそび」で、期間中さまざまなあそびにも触れながら、参加者同士あそびながら多くのことを学ぶ機会となったようです。特に今回は東京大学以外からの参加者も多く、年齢分布も様々となり多様な属性の学習者の集う豊かな学習環境が作り出せたと感じています。
あそびの未来ファクトリーでの活動をきっかけとして、今後も交流が続いたり、今回のアイディアを本格的に実装するなど、参加学生たちが今後も活躍していくことを期待します。

日時

2月13日(火)〜2月28日(水) 14:00-17:00

主催

東京大学情報学環中山未来ファクトリー

参加者

大学生・大学院生 16名

関連URL

あそびの未来ファクトリー 2024アーカイブページ

執筆者:倉本大資(東京大学大学院情報学環・特任研究員)



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