ワークショップ:Scratch で 空中像に触れてみよう – Scratch Day 2024 in UTokyo

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5/18 は倉本大資(特任研究員)と矢作優知(博士課程3年・日本学術振興会特別研究員 DC)による、「Scratchで空中像にふれてみよう」ワークショップを実施した。参加者は小中学生が中心で、兄妹で参加した方の中には小学校低学年と思われる参加者もいた。
Scratch Day なので、ほぼ全員の参加者がScratchは知っていて、空中像についてはわからないという状態からのスタートだったが、Scratchの手解き、ビデオモーションセンサー拡張機能の利用方法を伝え、空中像を表示するための装置のDIYとステップを踏み、2時間半の時間の中で全員が思い思いの空中像作品を創作していた。

空中像とは、光学的に映像や実物体の対象物を、空間上に結像させ空中に浮かび上がった映像を体験できる装置である。様々な光学素子を利用する方式があり、今回使用したものはAIRRと呼ばれる方式だ。それは再帰性反射材(自転車や衣服に使われる反射材)、アクリルハーフミラー(夜の窓などで外が見え、自分も映るなどの現象と同じ)など、比較的身近にある素材の組み合わせで実現できる。

まずはScratchのスクリーン上で、Webカメラを用いたインタラクション、映像の変化量を用い、画面に表示されたスプライトにカメラに映った自分の映像で触れるような体験をした。この辺りはすでに知っている参加者も多く、一部、初めて触るという参加者も居たが、ステップバイステップの解説で順調に進んでいった。

次に空中像装置の制作に移ったが、ほぼカット済みの材料を組み立てる順番に渡され両面テープなどで組み上げていった。こちらもステップを踏んで伝えることで概ね自分たちで作ることができたが、方向が難しいもの、力がいるものなどは保護者やスタッフのサポートを受けながら進める様子が多く見られた。

空中像装置の完成間際にもう空中像が表示できるという段階になり、各自自分の手で、装置の部品を組みわせ空中像が表示された時は歓声が上がった。残りのステップでそれらの部品を固定し装置を扱いやすくする作業が残っていたのだが、空中像を見たことでそのステップを進めるモチベーションにもなったようだ。

装置も完成し、Scratchのプロジェクトとの組み合わせ方も手解きするとあとは各自の関心に基づき様々な挑戦をする様子が窺えた。表示するスプライトの周りに炎のようなエフェクトを表示させるものや、空中にカーソルキーを表示しインターフェースの作成を試みるものもあった。

空中像は反射などを用いる簡易なものであれば個人でのDIYも十分可能だが、今回のような光学的に実像を結ぶ空中像はこれまで研究室のような場所での取り組みとなることがほとんどだった。それを小中学生を対象にDIYのワークショップとして実施できることがわかり、今後もこの体験を広めていきたいと考えている。

日時

2024年5月18日(土)10:00-12:30

運営

主催:Scratch Day 2024 in UTokyo 実行委員会
共催:情報学環オープンスタジオ|中山未来ファクトリー
協力:苗村研究室山内研究室

参加者

16組 参加人数35名

関連URL

https://scratchday2024utokyo.my.canva.site/workshop

執筆者:倉本大資(情報学環・特任研究員)



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