パネルディスカッション:Scratcherはどこからきてどこへ向かうのか – Scratch Day 2024 in UTokyo

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5月19日は、倉本特任研究員から開会の挨拶がされたのち、東京大学情報学環で学習環境デザインを研究する山内祐平教授と、子供の頃にScratchで創作をおこなった経験のある5名のパネラーとパネルディスカッションを行った。

山内教授は、scratchのルーツにあたるLOGOの学習効果についてのミニ卒業論文を執筆した経験や、近年企業と共同でおこなっているプログラミングを使ったワークショップや学校の授業での活用の研究をおこなっている。今回パネラーを務めた5名の方からもそれぞれScratchとの思い出や現在の専攻やご専門を伺いつつ、子供の頃に制作したscratchの作品も同時に紹介した。

パネラーのみなさんの自己紹介の後に、山内教授から「どうやったらプログラミングが上達して、面白いアイデアを思いつけるようになるんでしょうか?」という話題がパネラーのみなさんに向けられた。Poteto143さんからは、「最近は作品自体の面白さよりも、サイト上での人気を集めるために制作されたようなものも多いように思う、面白いものを作るためにはすぐに人気になろうと思わない方がいいのではないか」という応答があった。また、この日は親子で来場された参加者も多いことから、山内教授より「パネラーのみなさんはScratchと受験勉強をどのように両立していたのか?」という質問もあった。これに対して、推薦入試のような面接による入試を経験したパネラーからは、面接の際にScratchで制作した作品を見せたことが直接的に合格につながったというお話や、通常の筆記テストに関しても、shychoさんは「論理的思考力はScratchで養われたと思う」といった実感があったという。山内教授は、Scratchの開発チームが「Hard Fun」という言葉を大切にしていて、楽しさだけではなく同時に「辛さ、苦しさ」が存在している「苦楽しい」状態がScratchにはあるからこそ、よい学びにつながるのではないか、という言葉でパネルディスカッションを総括した。

小中学生の参加者が多く90分のパネルディスカッションはハードではという懸念もあったが、集中して聞き入り、相槌を打ったり、コメントを発するなど、積極的に参加する様子は印象深かった。

日時

2024年5月19日(日)9:30-13:00

運営

主催:Scratch Day 2024 in UTokyo 実行委員会
共催:情報学環オープンスタジオ|中山未来ファクトリー
協力:苗村研究室山内研究室

参加者

80名

関連URL

https://scratchday2024utokyo.my.canva.site/workshop

執筆者:増田悠紀子(情報学環・特任研究員)



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